収益性を上げる農業~施設園芸農業~

農業で利益を上げるためには、「収穫量UP」「単価の高い作物」「運営コストダウン」などがポイントとされています。設計事務所が「農業」を取り上げることは意外に思われるでしょうが、農業経営においても「施設づくり、運営方法」は重要であるため、ご紹介いたします。

施設園芸農業とは?

「施設園芸農業」とは、ビニールハウス等を利用して野菜などの園芸作物(野菜類・花き・果樹)を栽培することで、天候や外気温の影響を減らして比較的安定した生産ができる農業形態の1つです。
 施設にはパイプハウスをベースとして、天窓やカーテンの開閉を自動でできるもの、ボイラーなどの加温設備があるもの、センサーを連動させた溶液栽培施設等の環境制御装置を備えるものなど、さまざまな形態があります。

なぜ選ばれる?施設園芸農業のメリット

「路地作」に比べ、イニシャル・ランニングコストがかかるにも拘わらず「施設野菜作」を選択する理由に多いのは、面積当たりの「収益性」が高いため。その差は、全国平均データを見ても約3倍となっており、小さな面積でもより大きな所得を得られていることがわかります。また、環境制御装置を備えた施設園芸農業では、天候や外気温に左右されず安定した環境での栽培が可能となるため、計画的・安定的な収穫が期待できることもメリットです。

生産性が向上する「スマート農業」

複合的な環境制御装置を導入すれば、気温、湿度などの複数のデータを基に施設内の設備を遠隔または自動でコントロールすることが可能になります。これによって作物に適した環境を調節するための作業負担が軽くなり、より収量向上・労働生産性向上につながります。

課題はランニングコスト

生産性の向上が期待できる施設園芸農業ですが、もちろん課題もあります。最も重要な問題が「コスト」です。設備の導入コストだけでなく、月々のランニングコストも考えなければなりません。施設運営経費の内、光熱動力費の割合が4割になるという農林水産省の試算があり、灯油など燃料価格や、電気料金には大きな影響を受けます。潅水設備の井戸ポンプは電力量も大きくなりがちです。

コストダウンと補助金の活用がキー

施設園芸農業で「利益」を高めるためには、「低コスト化」と「省力化」で支出を抑えることが重要と言われています。

国や県などの支援制度(補助金)を活用しながら、環境制御技術を積極的に導入することが望まれます。また、光熱費の無駄を削減することで、収益性が改善します。補助事業の応募にあたっては、ハウス単体のみならず、電気や給排水などのインフラ設備を含めたトータルの設計検討と、それらの総工費の把握が重要です。ランニングコスト低減の視点は必須です。また、事業費が高額になる場合、施工業者を入札で決定しなければならないため、図面類の準備の他、入札会の開催や工事の記録、検査対応なども必要になります。

農業資材事業者への相談と同時期に、設備を含めたトータルコスト検討や入札準備支援も可能な設計事業者へも相談しておくことが望まれます。

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