耐震診断・耐震補強
建物の耐震基準は建築基準法によって定められています。この耐震基準は何度も改正されており、新しい耐震基準が定められています。特に昭和56年6月以前の耐震基準を旧耐震基準と言います。この旧耐震基準で設計され、耐震性能を保有していない建物を現行の構造基準(新耐震基準)の耐震性にすることを国が推奨しております。旧耐震基準の場合、震度6強から7の大地震に直撃すると倒壊してしまう危険性が非常に高いと言われております。このような状況を避けるために新耐震基準での耐震診断を行い、耐震補強で耐震性を確保する必要性があります。新耐震の場合でも劣化が気になるようであれば耐震診断をオススメします。補助金等も活用することが出来ます。
■対象となる建物
・医療・福祉施設(クリニック、高齢者GH、特養、障がい者GH等)
・学校・保育施設
・商業施設(事務所、店舗)
・宿泊施設(ホテル、旅館、民泊)
・公共施設・庁舎
■診断内容について
➀予備調査
調査の対象となる施設の概要を把握します。
施設の設計に関する設計図書(構造図、構造計算書、設計変更図、地盤調査報告書)
などの有無を確認し、現地調査及び耐震診断で必要になる情報・資料を収集します。
※設計図書がない場合は別途調査が必要になります。
➁調査・診断
予備調査実施により診断レベル(1次、2次、3次)を決定します。
調査内容は建物の規模・重要度、調査の可否などを考慮し、診断者が適切に決定します。
「一次調査」
建物重量と柱、壁の水平断面積およびコンクリート強度等で推定する断面方法です。
・外観調査により、ひび割れや鉄筋の腐食状況を目視で確認
・柱の傾斜や施設のたわみ、不同沈下を実測
・現在の施設状況と設計図書との比較
「二次調査」
柱、壁、コンクリート強度と鉄筋量等から、建物の強さ(地震に耐える力)と
粘り(地震を受け流す力)を推定する診断で、一般的な耐震診断を指します。
建物の劣化状態(ひび割れ・漏水・鉄筋錆・コンクリート爆裂)などの調査、
そして、コンクリートの圧縮強度・中性化等の試験を実施します。
・天井点検口、パイプスペースなどからの構造躯体コンクリート面を調査し、ひび割れ調査を実施
・不同沈下(施設の変形)を調査します。変形が進行性かどうかも確認します
・コンクリート強度の調査
・伸び縮する継ぎ手(エキスパンジョイント)の調査
・敷地状況を確認し、施設に与える影響の調査
「三次調査」
二次診断の対象である柱と壁に、梁の検討を加え、より詳細な計算を行う診断です。
➂耐震診断計算の実施
調査・診断結果をもとに耐震診断計算を実施します。
➃耐震性の総合評価
調査資料・計算結果に基づいて耐震性の総合評価を決定します。